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1964年(昭和39年)7月8日生まれ。蟹座でB型。
広島市出身、東京都国立市在住。 学生時代は水泳部(ちなみに100m自由形のベストタイムが60秒ジャスト)。 一番の趣味はアメリカンフットボール観戦で、1992年以来のNFLファン。好きなチームはTennessee Titans。 好きなアーティストのコンサート(浜崎あゆみ、クラシック等)に行ったり、路上ライブで見つけた若手のライブに行ったり。ピアノを始めたのも近年のマイブーム。演奏の動画は、以下です。 「片想い」 「17才」 「サイレント・イヴ」 「Honesty」 「We're All Alone」 「スター・ウォーズ」 「Voyage」 「上からマリコ」 「希望の轍」 ブログパーツ
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『ポーラー・スター』(マーティン・クルーズ・スミス/新潮文庫、1989)
☆☆☆★★ ゴーリキー・パーク事件の責任を問われて解任された上に党籍まで剥奪され、今やベーリング海の北洋トロール船ポーラー・スターで加工労働者として働くアルカージ・レンコ。その船上で、男好きのする厨房係のグルジア人女性が失踪し、翌日、網にかかって他殺体で引き上げられるという事件が起こった。 KGBらの手で事件が複雑になることを嫌った船長はむしろ真相の究明を望み、元捜査官のレンコに臨時の捜査を命じた。そこで明らかになったのは、合弁先のアメリカのトロール船団を交えた亡命、スパイ、密輸の複雑なカラクリだった。 『ゴーリキー・パーク』(ハヤカワ文庫、1981)に続くレンコ捜査官シリーズ第二作。ブレジネフ政権下だったソ連が、ここではゴルバチョフの「新思考」の時代に移っています。 亡命、スパイ、密輸という旧ソ連の「三点セット」は前作と同様ですが、ただでさえ 込み入ったストーリーがトロール船団という馴染みのない舞台で展開するため、やや理解が追いつかない感がありました。レンコら旧ソ連人特有の、はぐらかしやはったりで煙に巻く会話が多いのもそれに輪をかけます。 ただ、祖国に見捨てられ、当局から監視され、同僚からは命さえ狙われるという逆境に置かれたレンコが、期待されてもいない捜査活動に淡々と励み、再び息吹きを取り戻していく様はあっぱれという他ありません。このような、まさに不屈の主人公は、ロシア人以外のどの国民も出来ない芸当でしょう。 *** 『レッド・スクエア 上・下』(マーティン・クルーズ・スミス/ベネッセ、1992) ☆☆☆☆★ ポーラー・スター号での働きを認められ、レンコは再びモスクワ市検事局に復帰する。時代の混乱に乗じたマフィアの台頭で無法地帯と化しつつあったモスクワで両替商の爆殺事件を捜査するうちに、レンコはドイツ企業とマフィアとの不可解な「合弁」事業を察知し、上司を押し切って単身ミュンヘンに乗り込んだ。そこで待っていたのは、ロシア向け西側放送局ラジオ・リバティで働くあのイリーナ!疑心暗鬼の現地当局とイリーナの協力を得、レンコは革命期の前衛派の名画「レッド・スクエア」密輸事件を暴き出す。そして時は正に、ゴルバチョフ政権末期の軍事クーデターへと急展開していった。 レンコ捜査官シリーズ第三作。 第一作がモスクワとニューヨーク、第二作が酷寒のベーリング海、そして本作ではモスクワとミュンヘン、ベルリンと、舞台も変われば時代も変わります。当時「マールボロ本位制」と揶揄されたほどの社会の混乱と、1991年8月19日の「国家非常事態委員会」によるクーデター未遂事件で激動する社会の様子が、この一篇のミステリで追体験できるほどの迫力で描かれています。 ストーリーは相変わらず理解が追いつかないくらい複雑ですが、それを差し引いても、「人生に失敗し続ける男」レンコの意味深で格言めいたセリフに彩られた内容は、本当に味わい深く、読んでは味わい、読んでは味わいの繰り返しで、十分堪能させてもらいました。夢にまで見たイリーナとの再会、そして「ホワイトハウス」前に自発的にバリケードを築いて立ち上がる市民たちの姿は本当に感動的。人生、捨てたもんではない。 *** 『ハバナ・ベイ』(マーティン・クルーズ・スミス/講談社文庫、1999) ☆☆☆☆★ ロシア検察局のレンコは、ハバナ湾で不審死を遂げたかつての仇敵、元KGBのプルブリーダ大佐の身元確認のためキューバへ飛んだ。最愛の妻イリーナを病で亡くし失意の日々を過ごす彼は自殺さえ決意していたが、不審死に強引な幕引きを図ろうとするキューバ革命国家警察の動きと、不意に自分を襲った地元通訳の怪しい動きに疑問をかきたてられた。独断で彼を補佐してくれる地元警察の女性刑事オソーリョの助けを借り、やがて彼らはキューバ・ロシア間の不正貿易事件、そしてカストロ議長暗殺計画の暗部に迫る。 レンコ捜査官シリーズ第四作。 第一作の『ゴーリキー・パーク』が発表されたのが1981年、その後、ペレストロイカにベルリンの壁崩壊、さらには旧ソ連の崩壊と歴史的な事件が続きましたが、寡作と言ってもいい作者は、前作のベルリンの壁崩壊から7年も経って、再びレンコ捜査官を送り出しました、それも南の楽園キューバの地に。 辻褄が本当に合っているのか疑いたくなるほど煙に巻かれるプロットには当惑しますが、これまで、ずっと陰に籠もったキャラクターのレンコが、およそ場違いとも言える南国キューバで、地元の若い黒人女性刑事と何とか折り合いをつけながら協力していく様はまた一興といったところです。 解説によればこのシリーズはまだ終わりではないとのこと。もうプーチンの時代さえ終わろうとしていますが、果たして作者は今度はどういう舞台にレンコを登場させるのでしょうか。
by sergeant_cooper
| 2008-03-11 00:39
| 書籍・映画
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