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1964年(昭和39年)7月8日生まれ。蟹座でB型。
広島市出身、東京都国立市在住。 学生時代は水泳部(ちなみに100m自由形のベストタイムが60秒ジャスト)。 一番の趣味はアメリカンフットボール観戦で、1992年以来のNFLファン。好きなチームはTennessee Titans。 好きなアーティストのコンサート(浜崎あゆみ、クラシック等)に行ったり、路上ライブで見つけた若手のライブに行ったり。ピアノを始めたのも近年のマイブーム。演奏の動画は、以下です。 「片想い」 「17才」 「サイレント・イヴ」 「Honesty」 「We're All Alone」 「スター・ウォーズ」 「Voyage」 「上からマリコ」 「希望の轍」 ブログパーツ
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『サイバー完全兵器 世界の覇権が一気に変わる』(デービッド・サンガー/朝日新聞出版、2018)
☆☆☆☆☆ アメリカ、ロシア、中国、北朝鮮、イギリス、イラン、イスラエル…。核を超えた次世代の戦争!国家機密の盗み合いから核施設破壊、インフラ完全切断、ミサイル発射前阻止、5G戦略…。 国家間、水面下で繰り広げられる攻防戦からGAFA等グローバル企業がはらむ矛盾、ファーウェイの脅威まで、ピュリッツアー受賞のニューヨークタイムズ記者による世界危機の警告!(以上、出版社の内容紹介より抜粋) 著者は、NYタイムズ記者で、国家安全保障を担当。2017年までにピューリッツァー賞を三度も受賞とのこと。CNNへの定期的な寄稿を行うとともに、ハーバード大学のケネディ行政大学院で国家安全保障政策の講義も持っているそう。 で、単行本で450ページを超える本著、非常に読み応えがありました。 速読な私が、読み終えるのに四日もかかり、一つ一つがないがしろにできないほど重たい内容。当初、本著のタイトルからして、兵器の「図鑑」みたいなノリの本かと思いましたが、完全に違います。 内容紹介にあるとおり、いわゆるハッキングによる諜報の世界の最前線と現状、その問題と展望、そしてその打開策まで、広範に論じています。 紹介し始めるとキリがありませんが、特に2001年以降、「非対称」な闘いとして、サイバー戦争の位置付けが格段に上がってきた。攻撃側は、若手のプロを育てるだけで比較的安価に攻撃ができる。しかも、隠密性を維持し、誰がやったのかわからないように。 攻撃される側は、一体何が起こっているのかわからない場合さえある。イランの遠心分離機が米国とイスラエルのハッキングで「破壊」されたように。また、米国の大統領選挙の投票システムに「侵入」されて、不正操作の疑いが持ち上がった時のように。 攻撃する側に比べ、される側は、高度なインフラを備えているケースが多いので、よりダメージが大きい(=たとえば、元々満足なインフラさえない北朝鮮とかは、攻撃すべき対象さえ、見つけるのが難しい)。 また、政府としても、政府機関や重要インフラの防御については、国自身の仕事として責任を持つべきとしても、民間企業がターゲットにされると、そこまでは責任を持てない(=北朝鮮が、北朝鮮を揶揄するかのような映画を製作しようとしたソニー・ピクチャーズをハッキングした時のように)。一体、サイバー戦争では、国は何にどこまで責任を持つべきなのかも、まだ議論の途中なのだ。 さらに、フェイスブック等のSNSも、当初は無邪気に、プラットフォームを提供して広告を出しているだけというスタンスで通用したが、ロシアが、米国の分断を図るようなフェイクアカウントで、フェイクな主張をばらまき始めると、一般市民が、それに影響されてしまう。プラットフォーマーとしても、知らぬ顔の半兵衛を決め込むことがもはや許されなくなり、それなりのフィルタリングをせざるを得なくなるが、かといって、膨大なメッセージをどう適切にブロックなり仕分ければ良いのかという実務的な問題に悩まされる。 もちろん、攻撃される国としても、相手方の存在はある程度、把握できる。が、だからと言って(諜報の世界の原則で)それをすべて公開してしまっては「手の内」を曝け出すことにつながるので、攻撃を受けた場合でも、その事実を秘匿せざるを得ない。 と、従来の冷戦下の核兵器が、相互確証破壊によってある程度抑止されていたのとは対照的に、サイバーの世界には、いまだこれに匹敵する「闘いのルール」がない。著者は、それでも、「越えてはならない一線」(=攻撃された側が、もはや受忍限度外だとして、より大規模な攻撃を仕掛ける、それも、場合によっては「熱い」戦争の形によって)を、各国でなるべく早く、条約の形で合意すべきではないかと説きます。 また、民間企業も自己責任において、自らのセキュリティを保全しないといけない。さらに大変なのは、冷戦下に、各国が多額の投資を行って高速道路やシェルター建設を行ったのと同様、サイバー戦争に備えて、これと同様な、国家規模の予算を投じて防御体制を備えないといけない。それが疎かになると、簡単に付け込まれてしまう。 本著を読む前までは、ロシアや中国のハッキングの実態もよく知らなかったせいもあり、どこか「対岸の火事」的に見ていました。民間企業のネットワークが侵入を受けても、他人事だったし。 しかし、持たざる国にとっては、この非対称で安上がりな戦術は、持てる国にとって十二分な威嚇力を持つものなのですね。日本の自衛隊のサイバー部隊も、まだ発足したばかりのようで、おそらく、世界的に見ても後進国でしょう。 しかし、近隣にこの手の怪しげな国に囲まれている以上、もう、悠長なことは言っていられない。喫緊の対策を要する安全保障上の問題だと、強く認識させられました。
by sergeant_cooper
| 2019-12-05 05:26
| 書籍・映画
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