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1964年(昭和39年)7月8日生まれ。蟹座でB型。
広島市出身、東京都国立市在住。 学生時代は水泳部(ちなみに100m自由形のベストタイムが60秒ジャスト)。 一番の趣味はアメリカンフットボール観戦で、1992年以来のNFLファン。好きなチームはTennessee Titans。 好きなアーティストのコンサート(浜崎あゆみ、クラシック等)に行ったり、路上ライブで見つけた若手のライブに行ったり。ピアノを始めたのも近年のマイブーム。演奏の動画は、以下です。 「片想い」 「17才」 「サイレント・イヴ」 「Honesty」 「We're All Alone」 「スター・ウォーズ」 「Voyage」 「上からマリコ」 「希望の轍」 ブログパーツ
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『怒り 上・下』(ジグムンド・ミウォシェフスキ/小学館文庫、2014)
☆☆☆☆★ ポーランド発、完徹必至の傑作ミステリ上陸。 ポーランド北部オルシュティン市の工事現場で、白骨化した遺体が見つかった。現場に向かった検察官テオドル・シャツキは、現場が病院に続く地下の防空壕だったことから、戦時中のドイツ人の遺体と考えていた。 ところが検死の結果、遺体の男は10日前には生きていたことが判明、この短期間で白骨化することはあり得ないという。さらに調査を続けると、複数の人間の骨が入り交じっていた。やがてこの男は、大量の顆粒の配水管洗浄剤に生きたまま埋められて死んだことがわかる。そして真相に手が届こうとした時、シャツキ自身の身に思いもよらぬ事件が…。 ポーランド本国でベストセラーとなり、欧米では「ポーランドのP・ルメートル」と大絶賛された本邦初登場の作家による、大傑作ミステリ!(以上、出版社の内容紹介より抜粋) 「本邦初登場」とあるように、私も初めて読む作家です。「ポーランドのP・ルメートル」と言うからには、相当期待できそう?何しろあの『その女アレックス』や『傷だらけのカミーユ』に並び評されるくらいですかから。 さて、事件からして相当ショッキング。白骨化した死体、ポーランドの建設現場でよく見つかる、戦時中のドイツ人のものではない。検死の結果、何と漂白剤を使って生きたまま白骨化されて殺された死体(ピヨトル・ナイマン)であることが判明(=漂白剤を顆粒状のまま生きた被害者と一緒に鉄の筒に入れる。慌てた被害者が汗をかくと、その水分で顆粒が溶け、肉を溶かす水酸化ナトリウムになる!)。 一体誰が何のためにこんなむごたらしいことをしたのか。 捜査に当たるのはポーランドでその名も知れた検察官シャッキですが、どうやら周囲からはその仕事への熱意は「怒り」から来ているのではないかと遠巻きにされているよう。おまけに司法修習を終えて配属された見習い検察官のファルク、シャッキに輪をかけて「論理的」で、正に血も涙もないという感じ。 捜査は被害者の身元特定と同時に、どうやら家庭内暴力が背景にあるのではと疑わせますが、決定的な証拠が出てこない。そんな中、シャッキの愛娘ヘレナが失踪、犯人(ら)に誘拐され、どうやら「溶解死」の次の標的にされているらしいとシャッキは悟る。 (例によってネタバレで書かないと紹介し切れないのですが) 犯人は、かつて幼い頃に家庭内暴力の被害者だった高校生のヴィクトリアだった。彼女は、その境遇を引き起こしているピヨトルを捨てては置けず、義憤に駆られて「溶解」という「火あぶりの刑」に処したのだ。プロファイリングやナイマンの家族歴を精査した結果、シャッキは、かつて被害者だったヴィクトリアが犯人と見極め、単身、娘の救出に臨むが、「怒り」のあまり、ヴィクトリアを絞殺(が、娘は無事だった)。 ここからがまたトリッキーで、犯人はもちろんヴィクトリア一人ではない。 共犯は(何と)ファルクだった!検察官として訴追する以外に悪を罰し予防する方法として、ヴィクトリアとともに「私刑」に加担。絞殺という犯罪を犯したシャッキに対し、仲間にならないかと持ちかけるー。 う~ん、何と言う陰惨で、気の滅入るプロット。 霧雨と粉雪が舞うポーランドの郊外に、相応しいと言えば相応しいのですが。ファルクの申し出を断ったシャッキ、あらかじめ手配しておいた刑事ビェルトらが到着すると、「お縄になる」べく両手を出します。いやしくも正義を司るスター検察官としては、弱みを握られて加担させられるよりは、(潔く、と言うか、頑なに)自首を選んだということでしょうか。 極東の島国の日本人の常識では計り知れない「割り切れなさ」を感じました。
by sergeant_cooper
| 2018-01-10 08:19
| 書籍・映画
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