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1964年(昭和39年)7月8日生まれ。蟹座でB型。
広島市出身、東京都国立市在住。 学生時代は水泳部(ちなみに100m自由形のベストタイムが60秒ジャスト)。 一番の趣味はアメリカンフットボール観戦で、1992年以来のNFLファン。好きなチームはTennessee Titans。 好きなアーティストのコンサート(浜崎あゆみ、クラシック等)に行ったり、路上ライブで見つけた若手のライブに行ったり。ピアノを始めたのも近年のマイブーム。演奏の動画は、以下です。 「片想い」 「17才」 「サイレント・イヴ」 「Honesty」 「We're All Alone」 「スター・ウォーズ」 「Voyage」 「上からマリコ」 「希望の轍」 ブログパーツ
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『罪の声』(塩田武士/講談社、2016)
☆☆☆★★ 逃げ続けることが、人生だった。家族に時効はない。今を生きる「子供たち」に昭和最大の未解決事件「グリ森」は影を落とす。 「これは、自分の声だ」、京都でテーラーを営む曽根俊也は、ある日父の遺品の中からカセットテープと黒革のノートを見つける。ノートには英文に混じって製菓メーカーの「ギンガ」と「萬堂」の文字。テープを再生すると、自分の幼い頃の声が聞こえてくる。それは、31年前に発生して未解決のままの「ギン萬事件」で恐喝に使われた録音テープの音声とまったく同じものだった。 未解決事件の闇には、犯人も、その家族も存在する。圧倒的な取材と着想で描かれた全世代必読!本年度最高の長編小説。 昭和最大の未解決事件、「ギンガ萬堂事件」の真相を追う新聞記者と「男」がたどり着いた果てとは―。 気鋭作家が挑んだ渾身の長編小説。(以上、出版社の内容紹介より抜粋) 週刊文春ミステリーベスト10、2016年国内部門第1位。 この本、図書館の順番待ちでは永遠に回ってこないような気がしたので、意を決して買いました(1,750円。なお、9刷で120,000部突破だそうです)。 グリコ森永事件を題材に、どこまでがノンフィクションでどこからが作者のフィクションなのか、正直読んでいてよくわかりません。そうなると、全部「真に受けて」読むしかない。 脅迫のテープに録音された声は自分の声だと気付き、一体父らがどこまであの事件に関与していたのか知りたい曽根俊也(京都で、父からの代の紳士服店を自営)。一方、ダイニチ新聞の年末企画で「昭和の迷宮入り事件」を扱えと押し付けられて、当初やる気の出ない社会部の阿久津。 曽根の方は、何しろ肉親が関与していたかも知れないというので切迫感がありますが、当初腰が引けていた阿久津記者の方も、少ない手がかりを丹念に追ううちに、株の仕手戦、同時期に起きたオランダでの企業人誘拐事件、滋賀県警を(暴力団との癒着容疑で)退職に追い込まれた元刑事等々、点と点が幾つも浮上してはつながり始め、曽根以上に本腰が入る。 今や、ただの迷宮入り事件の発掘を超えて、当時「声」をテープに録音されて、おそらく人生を狂わされてしまった子供たちとその家族の人生を解き明かし、肩の荷を下ろしてやり、幾ばくかの社会正義を実現する使命に燃え始めた。 無理やり巻き込まれて人目を避けた人生を送らざるを得なくなった関係者については、言葉もありません。 が、その原因となった事件の動機というのが、作者が解き明かすところによれば、 1)元新左翼で肉親を失った「はね返り」が、 2)社会や権力にただ抵抗してみせたかったので、 3)そのために、関係企業に過ぎない「ギンガ」をターゲットに選ぶも、もとより身代金等眼中になく(=受渡しで引っ掴まるのが目に見えているので)、 4)株の仕手戦で儲けようと企んでいたに過ぎない、と、やりきれない想いにさせられます。それも、元ヤクザのグループと、全体像を仕組んだ曽根の伯父のグループとで最後は仲間割れ(お金の分配)までして。 大事件なのに、蓋を開けてみると何のことはない、人間のドロドロとした情念やチンケな欲望が渦巻いていただけだった。もちろん、それだからこそ、当時の事件捜査は難しく、また、ここまで「再現」してみせた作者の構想力や筆力には感服しますが、何かどうも、虚しさを感じる読後感でした。
by sergeant_cooper
| 2017-06-09 06:29
| 書籍・映画
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