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1964年(昭和39年)7月8日生まれ。蟹座でB型。
広島市出身、東京都国立市在住。 学生時代は水泳部(ちなみに100m自由形のベストタイムが60秒ジャスト)。 一番の趣味はアメリカンフットボール観戦で、1992年以来のNFLファン。好きなチームはTennessee Titans。 好きなアーティストのコンサート(浜崎あゆみ、クラシック等)に行ったり、路上ライブで見つけた若手のライブに行ったり。ピアノを始めたのも近年のマイブーム。演奏の動画は、以下です。 「片想い」 「17才」 「サイレント・イヴ」 「Honesty」 「We're All Alone」 「スター・ウォーズ」 「Voyage」 「上からマリコ」 「希望の轍」 ブログパーツ
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『ショパン・コンクール』(青柳いづみこ/中公新書、2016)
☆☆☆☆★ ポーランドのワルシャワで5年に一度開催されるショパン国際ピアノ・コンクール。ピアニストをめざす若者たちのあこがれの舞台であり、その結果は彼らの生涯を大きく左右する。 本書では1927年の創設以来、紆余曲折のあったコンクールの歴史を紹介した上で、現地で取材した2015年大会の模様をレポート。 客観的な審査基準がない芸術をどう評価するのか、将来日本人優勝者は現れるのか。コンクールを通して日本の音楽界の未来を占う。(以上、出版社の内容紹介より抜粋) 著者は確か、印象派、特にドビュッシーが十八番のピアニスト兼エッセイストで、以前著書を読んだことがあります。また、当のショパン・コンクールについては、故・中村紘子さんの本に詳しく書いてあったような気がする。なので、やや今更感もあったのですが、中村紘子さんの本は今となっては少々古いし、ドビュッシー専門の著者がどういう目で観察するのかに興味がありました。 本著を書くきっかけになったのは、2010年のコンクールが諸般の事情で大荒れになってしまい、それなら2015年大会を視察してみようというというのが動機のようです。因みに2010年というのは、アイスランドの火山噴火で飛行機が運航できずコンテスタントが来られなくなったり、審査段階の不手際でいったん落選扱いにした人を再招集したりと、運営的にいろいろあったとのこと。 さて、本著では、上記のとおりショパン・コンクールが始めれた主旨から説き起しながら、実際に視察した2015年大会の予選、ファイナルの様子を子細にレポートしています。ただ、前掲書にて、コンクールの主旨が、「ショパン弾き」として優れたセンスの持ち主を選ぶのか、それとも技量に優れたピアニストを選ぶのかという大きな課題を持っていることは知っていました。 さらに本著で明らかにされているのは、当のショパン自体、弟子らの証言によれば、楽譜も何度も改訂するし、自分で弾く時も一回として同じようには弾かないほど「自由」に演奏していた。が、19世紀的に、ピアニストが奔放な解釈(=即興を入れたり、楽譜に書いてないように弾いたりする)で弾くのが「横行」していたことにある意味業を煮やし、本当のショパンの演奏はどうあるべきかを探求する目的でコンクールは始まった。しかしやはり、楽譜に忠実に弾くという流派と、ショパンらしく?ピアニストの自由な解釈を認め、それがショパンらしさになっていれば良しとする流派が対立する。 当然のことながら、審査員の審査にも主観は入る。客観的な物差しがないので、何日も予選、本選と何十人もの演奏を採点/評価していると、一貫した評価基準さえ持ちにくい。 さらには、近年の応募者数の激増に伴い、(初めて知りましたが)DVD録画で事前審査してふるいにかけるとか、コンクール受賞歴や師事しているお師匠さんや通っている学校を基準にふるいにかけたりもする(=そうでもしないと、コンテスタントを絞り込めない)。晴れてワルシャワに進めても、一体どういう基準で審査されるのかもよくわからない。人間的と言えば極めて人間的ですが、事実上、世界最高峰のブランドであるショパン・コンクールの運営も、難しいものがあるのだと実感しました。 著者は、審査員等へのインタビューも行い、日本人コンテスタントがなかなか上位入賞できない理由も指摘し、なるほどと思わせました。やはり、先生の指示、指導に忠実なあまり、演奏家としての表現力を磨くことにまだ遅れがあるみたいです。 また、著者が指摘するように、ポリーニ、アルゲリッチ、ツィマーマンらを最後として、優勝者がなかなかその後大成しない。すぐにメジャー・レーベルと契約してデビューしていまい、勉強が疎かになっているのではないかとの指摘には、確かに納得します。個人的にも、ショパン・コンクールで優勝してCD出した新人よりも、コンクールにこそ出てないけれど、もっと凄まじい個性的な演奏をするピアニストがたくさんいる。 そういう意味で、このショパン・コンクール、ピアニストを目指す人たちにとっては、あまり過大視せず、あまたあるコンクールの一つ、程度でトライすればいいのではないかとも思います。簡単には答えのでない問題で、いろいろ考えさせられました。
by sergeant_cooper
| 2017-02-08 06:19
| 書籍・映画
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