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1964年(昭和39年)7月8日生まれ。蟹座でB型。
広島市出身、東京都国立市在住。 学生時代は水泳部(ちなみに100m自由形のベストタイムが60秒ジャスト)。 一番の趣味はアメリカンフットボール観戦で、1992年以来のNFLファン。好きなチームはTennessee Titans。 好きなアーティストのコンサート(浜崎あゆみ、クラシック等)に行ったり、路上ライブで見つけた若手のライブに行ったり。ピアノを始めたのも近年のマイブーム。演奏の動画は、以下です。 「片想い」 「17才」 「サイレント・イヴ」 「Honesty」 「We're All Alone」 「スター・ウォーズ」 「Voyage」 「上からマリコ」 「希望の轍」 ブログパーツ
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『貨幣と欲望』(佐伯啓思/ちくま学芸文庫、2013)
☆☆☆★★ 今なぜグローバル経済は、極めて不安定化しているのか。 その深層には、限りなく増殖し続けている人間の欲望と貨幣の作用の存在がある。そしてそれらを突き動かしているものは、経済学だけではとうてい理解できない。フロイトやラカンの精神分析、ニーチェやハイデッガーの哲学的議論、さらにウェーバーやゾンバルトの社会学―。 これらを総合し、資本主義の誕生から現代に至るまでの経済を、単なる経済現象としてだけでなく、人間精神の表現として捉え直す。現代資本主義を根源から批判的に考察する「精神解剖学」の試み。(以上、出版社の内容紹介より抜粋) 本著は、2000年12月に刊行された『貨幣・欲望・資本主義』に補論を加えて新規に刊行された文庫です。佐伯先生の本はいろいろ読んでいますが、少し前の本まで遡って読んでみようと思い、借り出しました。 補論で書かれていますが、本著における先生の立場は、 「「資本主義はその成功のゆえに大きな矛盾を生み出す」という、例えばシュンペーターの見解に近い」、 「より具体的に言えば、市場経済のグローバル化は、確かに、金融や資本の動きに主導された「脱国境化」を促進するであろう。しかしそれは同時に、安定した労働や生活の確保を優先する「再国境化」への強力な圧力をも生み出す。ここに「グローバル・エコノミー」と「ナショナル・エコノミー」の対立が生じ、それはまた「金融の経済」と「労働・生産の経済」の対立と言ってもよい」 とのこと。 これらを整理するために、先生は「資本主義の精神解剖学」という立場から、フロイト、ハイデッガー、ラカン、アレント、ニュートン、ウェーバー、ゾンバルト、ケインズらといった「知の巨人」らを(無免許運転だと断りながら)引き合いに出して、縦横無尽に論じる。ウェーバーの、プロテスタンティズムと資本主義の関連性についての議論は有名ですが、これにさらに、ユダヤ人の資本主義との差異まで論じる。これが、貨幣の意味に結び付く。 なかなか抽象度の高い議論なので、私が再度、私の言葉で要約するなどとても無理なのですが、要するに、 1)今ここにある資本主義とは、貨幣が生まれ、それが大地や生産といった経済活動から離れて独り歩きし始め、それがまた資本主義を成長させ、駆動させることになった。 2)また、そのために、現代人は根無し草のようなサラリーマンと化し、消費にしか存在を見出せない。 欠乏の問題を論じるはずだった経済学は、その逆の、過剰を目の当たりにして、有効な処方箋を書くどころか、問題の元凶となっている。 最近の先生の本では、どちらかと言うと社会評論的なものが多いように思っていましたが、その根っこには、このような壮大な理論的考察があったのですね。解説で三浦雅士氏が「名著である」と断言していますが、これが本当に読み解かれて、知の世界で受肉されるようになれば大したものだと思います。 が、残念ながら、目先の経済現象に追われるばかり。このような社会思想がもっと議論の的となることを期待したいです。
by sergeant_cooper
| 2015-11-25 06:15
| 書籍・映画
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