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1964年(昭和39年)7月8日生まれ。蟹座でB型。
広島市出身、東京都国立市在住。 学生時代は水泳部(ちなみに100m自由形のベストタイムが60秒ジャスト)。 一番の趣味はアメリカンフットボール観戦で、1992年以来のNFLファン。好きなチームはTennessee Titans。 好きなアーティストのコンサート(浜崎あゆみ、クラシック等)に行ったり、路上ライブで見つけた若手のライブに行ったり。ピアノを始めたのも近年のマイブーム。演奏の動画は、以下です。 「片想い」 「17才」 「サイレント・イヴ」 「Honesty」 「We're All Alone」 「スター・ウォーズ」 「Voyage」 「上からマリコ」 「希望の轍」 ブログパーツ
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『シベリア出兵 近代日本の忘れられた七年戦争』(麻田雅文/中公新書、2016)
☆☆☆☆☆ 1917年11月に勃発したロシア革命。共産主義勢力拡大に対して翌年8月、反革命軍救出を名目に、日本は極東ロシアへ派兵、シベリア中部のバイカル湖畔まで占領する。だがロシア人の傀儡政権は機能せず、パルチザンや赤軍に敗退を重ねる。日本人虐殺事件の代償を求め、北サハリンを占領する等、単独で出兵を続行するが…。 本書は、増派と撤兵に揺れる内政、酷寒の地での7年間にわたる戦争の全貌を描く。(以上、出版社の内容紹介より抜粋) 著者は、1980年生まれ。学習院大学文学部史学科卒業後、北海道大学大学院文学研究科博士課程単位取得(博士:学術)。現在は、岩手大学人文社会科学部准教授(近代の日中露関係史)という先生です。これは図書館の新着本リストで見つけました。 あとがきによれば、シベリア出兵について主に日本の観点から書いてくださいと中公新書編集長に持ちかけられ、「名だたる先行研究がそびえることもあり」迷いがあったそうなのですが、新書という形が今までないことから、最新の知見を盛り込んだ通史を書くことにしたとのことです。 シベリア出兵というと、日本史の授業で米騒動と一緒に習った程度で、後は、日本は最後まで撤兵せず列強の顰蹙を買ったという認識しかありませんでした。そういう意味で、この本で初めて、全体像が勉強できたと言ってもいいです。 もちろん、第一次大戦時のロシア革命でロシアが戦争から離脱していまい、苦境に立たされた英仏からの誘いもあった。が、それだけではドイツを敵に回す大義名分もなく、膨大な財政負担も生じる。アメリカも出兵するのなら、と及び腰でしたが、「チェコ軍団」救出という名目が立ち出兵(が、その時既に、軍や財界では、極東の権益確保の魂胆があり、出兵数はアメリカに約束した数を遥かに超えていた)。 が、それからが大変。 1)広大な大地に戦力を分散することなり、パルチザンや赤軍の各個撃破に手を焼く。 2)零下40℃という酷寒で、食料の類はみな凍ってしまい、補給にも困る。 3)極東に、ソヴィエト政権とは別の傀儡政権(国家)を擁立して緩衝地帯としたいところ、傀儡の当てにした白軍の幹部が皆、中途半端で役に立たない。 4)欧米が皆、撤兵してなお、せめてウラジオストックと北サハリン(=油田がある)の権益確保にしがみついてしまって撤兵が遅れ、結果、ソヴィエト政府との講和も遅れた。 と、その後の満州事変や日中戦争のドロ沼の先行事例でありました。しかも軍部/政府は、この戦史を編んでおきながら、戦死者/被害者/市民に顔向けできないため、公開しなかった。これがその後のドロ沼を招いたとも言える。 それでも著者が、その後とは唯一違うとしているのは、撤兵の決断と実行を政府が責任を持ち、参謀本部を押し切ったという点。政府が撤退を主導した最後の戦争だ、としています。 確かに、開戦は勇ましく、誰でもできるかも知れないが、撤退の決断は重大な責任問題になるわけだから、軽々にできないのは理解できます。が、それを決断して実行するのが指導者の責任であろう。企業も同じ。 シベリア出兵というミクロな?事件ではありますが、通史として、何がいつどう起きて何が混乱したのか勉強できたし、何より、新書という手に取りやすい形で世に出たことは大きいと思います。是非、いろいろな人に読んでもらいたいと思います。
by sergeant_cooper
| 2017-02-14 06:15
| 書籍・映画
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