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1964年(昭和39年)7月8日生まれ。蟹座でB型。
広島市出身、東京都国立市在住。 学生時代は水泳部(ちなみに100m自由形のベストタイムが60秒ジャスト)。 一番の趣味はアメリカンフットボール観戦で、1992年以来のNFLファン。好きなチームはTennessee Titans。 好きなアーティストのコンサート(浜崎あゆみ、クラシック等)に行ったり、路上ライブで見つけた若手のライブに行ったり。ピアノを始めたのも近年のマイブーム。演奏の動画は、以下です。 「片想い」 「17才」 「サイレント・イヴ」 「Honesty」 「We're All Alone」 「スター・ウォーズ」 「Voyage」 「上からマリコ」 「希望の轍」 ブログパーツ
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『野戦病院でヒトラーに何があったのか』(ベルンハルト・ホルストマン/草思社、2004)
☆☆☆☆★ ヒトラーは1918年10月、第一次大戦末期ベルギー戦線で毒ガス攻撃に遭い失明し、ドイツ東部のパーゼヴァルク野戦病院に収容される。そこで精神医学の権威エドムント・フォルスター教授に催眠治療を施され回復した。 戦争が終わりミュンヘンに現れたヒトラーは以前の「卑屈で目立たない」男ではなく、異様な目の光を持った政治家・大衆煽動者に変貌していた。 パーゼヴァルクの28日間に何があったのか。独裁者を誕生させた決定的瞬間に光を当て、これまで多くの歴史書が見逃してきた20世紀最大のミステリーを解き明かす。(以上、出版社の内容紹介より抜粋) 著者は(1919-2008)は、第二次大戦ではドイツ国防軍の将校として従軍、大戦末期に反ヒトラー運動に連座して逮捕。ソ連に抑留後、1946年9月に解放。戦後は法律家、ミステリー作家として活躍し、80歳を過ぎてから本著の執筆に入ったとか。 たまたま偶然、前掲の『一流の狂気』(ナシア・ガミー/日本評論社、2011)を読み、その中で、 ・ヒトラーには躁鬱の両極性障害があり、 ・極端なエネルギーを発散する時もあれば、 ・うつで落ち込む時も多く、 ・(日本では今や非合法な)向精神薬漬けとなり、冷静な判断力を失っていった、とありました。 本著では、(こういった「事実」が今頃明らかにされるのかという点も驚きですが)第一次大戦でヒトラーが毒ガス攻撃に遭った際、本人はそれで失明した、ドイツが敗けたと知ってショックのあまり失明した(と「我が闘争」に書いている)としていますが、実際のところはそう単純な話ではなかった。 せいぜい結膜炎を起こした程度で、むしろ、パーセヴァルク野戦病院にまで送還されたのは、彼が精神病質者として診断され、精神科医の治療を必要としたからだった(=大言壮語癖や、卑屈な態度等、それを窺わせる徴候は多かった)。 その病院でヒトラーを診察した精神科医のフォルスター医師は、ヒステリー性の「失明」、プラス不眠症をとにかくまずは治療しようと思い、さらには彼の上記のような誇大妄想壁的な性格の治療にも踏み込もうと思い、催眠療法を試みる。実際それによって目は見えるようになり、不眠症も改善したが、ヒトラーの内部に巣食っていた「狂気」にも、一種の暗示がかかってしまい、それを解き放つことになってしまった(フォルスター医師は、翌日に催眠を解くつもりだったが、急遽転属を命じられたとのこと。つまり、ヒトラーは退院後、催眠療法によって暗示をかけられた「ハイ」で「誇大妄想」なまま、政治家としての活動に「使命を感じて」?突き進みことになった)。 催眠をかけられていた最中に問診された内容が漏れるのを恐れたヒトラーは、政権奪取後すぐに、カルテ等の関連文書の廃却を命じ、フォルスター医師も「暗殺」され、医師から手記を託されていた作家ヴァイスも、「目撃者」というフィクション小説の形で出版するも、タイミングが悪く、日の目を見なかった。ようやく、米軍諜報部(にまで知れ渡っていた)当該資料が公開され、ドイツ国内でも資料が照合され、著者が渾身の「この一冊」を世に問うたようです。 こうして見ると、確かに青年期のヒトラーは、画家を目指すも文無し同様の生活に苦しみ、過激な思想に共感はしていた。が、少なくとも第一次大戦の戦友の証言を聞く限り、卑屈で、とても政治的な活動をする人間には見えなかった。 しかし、このパーセヴァルク病院退院後のヒトラーを見た戦友たちは、彼が全くの別人になり、目の色からして違うことに驚いたとか。著者自身も、戦争中に偶然、列車がすれ違った際に、車窓越しにヒトラー自身と目が合い、射抜かれるようなあの青い目に驚いたと記しています。 第二次大戦という狂気にドイツと世界を巻き込んだ張本人が、まさか、よりによって、中途半端な催眠療法によって覚醒させられた誇大妄想の成れの果てだったとは。 この本に書いてあることがどこまで真実なのか、一読者の私には検証のしようがありませんが、実際問題、あり得る話だとも思いますし、何という悲劇かとも思いました。
by sergeant_cooper
| 2016-09-16 05:11
| 書籍・映画
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