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1964年(昭和39年)7月8日生まれ。蟹座でB型。
広島市出身、東京都国立市在住。 学生時代は水泳部(ちなみに100m自由形のベストタイムが60秒ジャスト)。 一番の趣味はアメリカンフットボール観戦で、1992年以来のNFLファン。好きなチームはTennessee Titans。 好きなアーティストのコンサート(浜崎あゆみ、クラシック等)に行ったり、路上ライブで見つけた若手のライブに行ったり。ピアノを始めたのも近年のマイブーム。演奏の動画は、以下です。 「片想い」 「17才」 「サイレント・イヴ」 「Honesty」 「We're All Alone」 「スター・ウォーズ」 「Voyage」 「上からマリコ」 「希望の轍」 ブログパーツ
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『人はなんで生きるか』(トルストイ/岩波文庫、1882)
☆☆☆☆☆ ここに収められた五つの短篇はトルストイ(1828-1910)晩年の執筆になるもの。 作者はこの時期、著しく宗教的・道徳的傾向を深めていた。そして苦悩に満ちた実生活を代価としてあがなった、かけがえのない真実が、幾多の民話となって結晶していったのである。 これらの作品には、素朴な人間の善意に対する確かな信頼が息づいている。(以上、出版社の内容紹介より抜粋) 確かもう何年、いやもっと前、この本を読みました。動機は、(このブログに感想文を投稿しているような、)安直なエンターテインメント作品ばかり読むのではなく、ちゃんとした純文学の名作にも当たっておこうと思い直したからでした。それで、ヘミングウェイやゾラやカポーティとかとともに、このトルストイも、文庫で出ている全作品を読みました。 もちろん、トルストイでは、『戦争と平和』等の名作にも、ひたすら感銘を受けましたが、上記にあるように、晩年に書いた民話集、正直言って、こっちの衝撃の方が凄かった。何というか、(当時の私のような者の)「すさんだ心」を洗い流してくれるような読後感を持ちました。 今回、またあらためて読んだのは、実はこの本と『イワン・イリッチの死』の二冊を、とある人に勧めたからであります。是非感想を聴かせてくださいと一言添えて。人に勧めておきながら、私はすっかり内容を忘れてしまっているのじゃ話にならないので、読み返しました。 で実際、もちろん、トルストイがこれらの作品に込めたであろうメッセージ、すなわち、 ・博愛主義や純朴な宗教心の大切さ、 ・倫理観や道徳心に裏打ちされた人生、 ・そういうものに対する、トルストイの肯定的なメッセージ、 をあらためて感じることができました。 とともに、『戦争と平和』とかでも同じですが、驚嘆すべきは、トルストイの人間観察力、描写力。人の心の機微がどうしてここまで理解して描写し尽くせるのだろうということに驚かされます。まるで読者自身の心まで見透かされている気になります。 さらに、この民話集について喩えて言うと、あの聖書の読後感にも似ていると思います。私は別にキリスト教信者ではありませんが、それでもなお、日本語訳された聖書に触れる時、主やイエスが穏やかに教え諭す場面を読むと、二千年後の日本人読者の私でさえ、どこか心安らかな気持ちになります。このトルストイの民話を読んで感じるのは、ちょうどそういう読後感。 そういう意味では、現代の「聖書」とさえ言えるかも知れない。どこにでもありそうな題材から取った「民話」でも、トルストイの平明で簡潔で、穏やかな描写にかかってしまうと、途端、どの短編も、聖書のようなオーラを放ってくるように思える。 二千年前の聖書と同じく、人々への、洞察力に満ちていながらも、同時に、限りなく優しいまなざし。そして、篤い信仰に支えられた、穏やかだけど、確かで、心静かな生き方。その大切さを再認識させてくれたトルストイの筆力に、また「ひれ伏すほど」感服しました。
by sergeant_cooper
| 2016-02-16 07:07
| 書籍・映画
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