検索
プロフィール
1964年(昭和39年)7月8日生まれ。蟹座でB型。
広島市出身、東京都国立市在住。 学生時代は水泳部(ちなみに100m自由形のベストタイムが60秒ジャスト)。 一番の趣味はアメリカンフットボール観戦で、1992年以来のNFLファン。好きなチームはTennessee Titans。 好きなアーティストのコンサート(浜崎あゆみ、クラシック等)に行ったり、路上ライブで見つけた若手のライブに行ったり。ピアノを始めたのも近年のマイブーム。演奏の動画は、以下です。 「片想い」 「17才」 「サイレント・イヴ」 「Honesty」 「We're All Alone」 「スター・ウォーズ」 「Voyage」 「上からマリコ」 「希望の轍」 ブログパーツ
カテゴリ
タグ
NFL(540)
ライブ(220) 広島市(76) 試乗(75) 浜崎あゆみ(72) クラシック(69) 海外ドラマ(64) 中央線(62) けっとちゃっぷ(62) ジェフリー・ディーヴァー(53) ピアノ(50) ロシア(49) ラジオ(49) マイクル・コナリー(48) 内田樹(43) 以前の記事
最新のコメント
最新のトラックバック
ライフログ
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
『北京から来た男 上・下』(ヘニング・マンケル/東京創元社、2008)
☆☆☆☆☆+☆ 凍てつくような寒さの未明、スウェーデンの小さな谷間の村でその惨劇は起きた。ほぼ全ての村人が惨殺されていたのだ。ほとんど老人ばかりの過疎の村が、なぜ?休暇中のヘルシングボリの女性裁判官ビルギッタは、亡くなった母親が事件の村の出身であったことを知り、ひとり現場に向かう。事件現場に落ちていた近くの中国料理店の赤いリボン、ホテルの防犯ビデオに映っていた謎の人影…。事件はビルギッタを世界の反対側へ、さらに過去へと導く。 北欧ミステリの帝王ヘニング・マンケルの集大成的大作。(以上、出版社の内容紹介より抜粋) 週刊文春ミステリーベスト10、2014年海外部門第17位。 ヴァランダー警部シリーズですっかりファンになったヘニング・マンケルの最新作を書店で見つけ、速攻で読んでみました。が、あいにくこれはヴァランダー警部シリーズではなく単発作品でしたが。 とにかく、物語のスケールの大きさに驚きました、あらゆる意味で。 冒頭の、村人19人惨殺事件もショッキングではあるが、その次に展開されるのが、19世紀後半の清朝末期の広東。アメリカでの鉄道建設労働者として掠われて、3年間、筆舌に尽くしがたい奴隷労働を生き延びて、地球を一周して故郷に帰ってきたワン・サン。アメリカで彼らを虐待したスウェーデン人現場監督に復讐を誓い、日記にしたためます。それが、長い長い年月を経て、サンの末裔で今や中国経済界の黒幕として大きな力を持つに至ったヤ・ルーが、スウェーデン人現場監督の末裔たちに復讐したというのが、冒頭の事件だった。 警察の初動捜査も描かれますが、警察は、自首してきた「目立ちたがり屋」のサイコパスに気を取られてしまい、真相には辿り着けない。一方、裁判官ビルギッタ・ロスリンは、実母の養父母が、今回の事件の被害者であったことを知り、個人的な関心を抱いて事件に近づき、その過程で、怪しい中国人の存在に気が付く。ビルギッタは、友人と一緒に中国旅行をし、現地で公安幹部らしい女性と知己になりますが、彼女は奇遇にも、ヤ・ルーの姉だった。そしてこの姉ホンクィは、ヤ・ルーの市場原理主義的、帝国主義的政策に真っ向から反対していた。中国は、膨脹を続ける人口のはけ口として、そして資源獲得のため、アフリカのジンバブエに何百万人もの中国人農民を移民させる計画を持っていたが、ヤ・ルーは、これに異を唱える姉を殺してしまう。 と、事件は、19世紀後半の中国・広東、そしてアメリカの鉄道建設現場を描き、一転して現代中国がアフリカに進出しようとしている場面を描き、地理的にも、時間的にも、縦横無尽な舞台を設定しています。そしてそれらが何と迫真なことか!作者の怒りの声が聞こえてきそう。 ヘニング・マンケルの「集大成的作品」と紹介され、本作の帯にも謳ってありましたが、渾身の一冊であることには間違いない。もはやミステリの枠を遙かに超えた、大作品だ。
by sergeant_cooper
| 2014-11-22 07:13
| 書籍・映画
|
Trackback
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||